夫は妻へ奉仕するもの
原始仏典には、在家者に対する日常生活の指針や倫理がまとめられた「シンカーラの教え」というものがあります。
シンカーラという資産家の子どもに、ブッダが人間としての道を教えたものがまとめられたものです。
今でも、南アジアの原始仏教が信じられる国では、世俗生活者の生活指針として大変重要視されているそうです。
そこで夫婦の在り方についてちょっと面白い教えがあるので紹介したいと思います。
仏教では女性を不浄のものとみているお経が後の大乗仏教で見られたりと、女性をやや軽視するきらいがあるように見られがちですが、このシンカーラの教えには、ブッダはとても女性を尊重していたと思われる内容が見て取れるお話があります。
その内容ですが、
夫は妻に奉仕すべきである
1 尊敬すること
2 軽蔑しないこと
3 道を踏み外さないこと
4 権威を与えること
5 装飾品を与えること
とあります。
まず、尊敬しなさい、そして見下したり、荒々しいことばで接しないこと、道を外さないはたぶん浮気などをするなということでしょう、そしてちゃんと権限を与えなさいと、家のことは任せなさいということでしょうか。
最後の装飾品を与えなさいというのはちょっと面白いですね。
まあ、時代背景を考えると、財産を妻に保全してもらうという意味も持ち合わせているのでしょう。
今でも南アジアでは、まとまったお金ができると、指輪などの装飾品を買って身に着け、お金がいるときに売るといった習慣がのこっているそうで、これなら戦乱の中、身一つで逃げて、新しい地でも生きていけるという考えです。
家の中の妻の役割というものをちゃんと知りなさいよ、尊重しなさいよ、信頼しなさいよといっているのでしょう。そしてちゃんと評価しましょうと。
もちろん、そのあとに妻の夫への理解なども同時に語られているのですが、当時のインド社会、バラモンの教義などを考えると、女性軽視の風潮が強かった中で、この教えは画期的なものではなかったでしょうか。
また他の仏典も男性に対しては、妻を愛しなさい、子を愛しなさい、という言葉がかなり多く登場します。
こんなお話もあります。
ある王に子供が生まれ、王女であったことに王は失意したそうです。
それに対してブッダはこういいました。
「人々の王よ、夫人といえども、ある人は実に男子より優れている。知恵もあり、戒めを保ち、姑を敬い、夫に忠実である。彼女の産んだ子は、英雄となり、地上の主となる。かくのごとき良い妻の子は国家まで教え導くのである。」
後の仏教では、女性の成仏を認めなかったり、出家を認めなかったりしていますが、少なくとも原始経典が成立した時代のころまでは、男性信者、女性信者、男性出家者、女性出家者に差別はなかったようです。
だれでも、この法に従って生きるものは差別なく涅槃に至れると。
事実、南アジアで現在も原始仏教を重んじる国では、女性が財産を管理する権利を持っていたり、この仏教思想が根付いているように見られる地域もあります。
そのように、ブッダの思想では、幸せな社会生活を営むにおいて、夫婦はお互い認め合い、力を合わせて、幸せになる為の盤石な家庭づくりにいそしむことが大切であると考えていたが、当時の社会の風潮に、妻(女性)の軽視という風潮があり、このような教えを説いたのでしょう。
シンプルに男女平等だけでなく、時代の社会構造に合わせた男性的役割、女性的役割も含めて、互いに尊重していく社会づくりでしょうか。
世の男性がた、奥様をちゃんと認めて評価していますか?
優しいことばで話してますか?
少し気を付けてみるといいかもしれませんね。
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